ヒップホップ数珠繋ぎは編集長で元DJの銀河がおすすめの音楽を気まぐれで紹介するコーナーです。「温故知新」をキーワードにサンプリングの元ネタ、ヒップホップの歴史や文化を発信していきます。
今回はMariah Careyのシングル『Fantsy』です。関連楽曲なんかも合わせて紹介しているので、お気に入りの楽曲、元ネタやサンプリングの経緯、ヒップホップの歴史や文化に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
Fantasy / Mariah Carey
楽曲詳細
タイトル | Fantasy |
アーティスト | Mariah Carey |
プロデュース | Dave “Jan” Hall / Mariah Carey |
収録アルバム | Daydream |
リリース | 1995 |
レビューと解説
5thアルバム『Daydream』からの1stシングル。80年代の名曲Tom Tom Club(トム・トム・クラブ)の『Genius of Love』をトラック、メロディ共に大胆にサンプリングし、R&B色の強い楽曲です。
この時登場したBillboardのシングルチャートは、史上初の女性歌手による初登場1位を獲得し、その後も8週連続1位を記録しました。また、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのチャートでも1位を獲得しています。
その名の通りPuff Daddy(パフ・ダディー)によるWu-Tang Clan(ウータン・クラン)のODBこと故Ol’ Dirty Bastard(オール・ダーティ・バスタード)を迎えた「Bad Boy Remix」なるリミックスも非常にクールです。
日本ではフジテレビ系列のクイズ番組「なるほど!ザ・ワールド」のエンディングテーマや、化粧品の製造会社である「株式会社コーセー」のCMソングとして起用されました。
さらに2020年10月にはSK-Ⅱの『ピテラエッセンス』のストリートアートパッケージのCMで
- 綾瀬はるか
- クロエ・モレッツ
- リア・ドウ
がカバーしています。
関連作品
Fantasyが収録されているアルバム
Daydream / Mariah Carey

前作『Merry Christmas』から1年、95年にリリースされたMariah Carey(マライア・キャリー)の5thアルバムです。過去の作品に比べさらにR&B、ヒップ・ホップ色が強くなっていますが、これはマライア本人の意向だそうです。
レコード会社はヒップホップ系のアーティストをマライアから遠ざけており、方向性の違いから対立がありましたが、いざ発表されてみると本アルバムは世界で2,500万枚を売り上げる驚異的なヒットとなりました。
- 史上初の女性アーティストによる全米シングルチャート初登場1位となった1stシングル『Fantasy』
- 全米シングルチャート16週1位というギネス記録まで樹立したBoyz II Menとの2ndシングル『One Sweet Day』
- 3rdシングル『Always Be My Baby』も2週1位を獲得
このアルバム1枚で記録したシングルチャート1位はトータル25週にも及び、この記録を達成したのはマライアだけです。
バラードからアップテンポのR&Bまで、自然体で伸びやかに歌いこなすマライアのボーカルは、まさに圧巻でズバ抜けています。人によっては本作を最高傑作に挙げる人も少なくない必聴のアルバムです。
- Fantasy
- Underneath The Stars
- One Sweet Day
- Open Arms
- Always Be My Baby
- I Am Free
- When I Saw You
- Long Ago
- Melt Away
- Forever
- Daydream Interlude
- Looking in
- 女性歌手によるビルボード初登場1位は史上初の快挙!Mariah Careyの『Fantsy』は歴史的名曲
- ギネス記録!Mariah CareyとBoyz II Menによる『One Sweet Day』は全米10年間で1番売れた歴史的名曲
Fantasyにサンプリングした曲・元ネタ
Genius of Love / Tom Tom Club
1stアルバム『Tom Tom Club』からの2ndシングルで、80年代を代表する、説明不要のニューウェイヴ、エレクトロ・ディスコの名曲です。多くの楽曲にサンプリングされ、ヒップホップファンにもおなじみのナンバーです。
リミックス
Fantasy (Bad Boy Remix) feat. Ol’ Dirty Bastard
今でこそR&Bやヒップホップ色もついているMariah Careyですが、『Fantasy』以前まではポップ寄りの楽曲が多かったかと思います。その時にBad Boy EntertainmentのPuff Daddy(パフ・ダディー)をプロデューサーに迎え、さらにハードコアなラップ集団Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)の中から、人一倍ぶっ飛んでいた故Ol’ Dirty Bastard(オール・ダーティ・バスタード)をフューチャーした本曲は当時衝撃的だったかと思われますね。