ヒップホップ数珠繋ぎは編集長で元DJの銀河がおすすめの音楽を気まぐれで紹介するコーナーです。「温故知新」をキーワードにサンプリングの元ネタ、ヒップホップの歴史や文化を発信していきます。
今回はMariah Careyの『Emotions』です。関連楽曲なんかも合わせて紹介しているので、お気に入りの楽曲、元ネタやサンプリングの経緯、ヒップホップの歴史や文化に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
Emotions / Mariah Carey
楽曲詳細
タイトル | Emotions |
アーティスト | Mariah Carey |
プロデューサー | David Cole / Robert Clivilles / Mariah Carey |
収録アルバム | Emotions |
リリース | 1991 |
レビューと解説
2ndアルバム『Emotions』からのリードシングル曲で、最近ではAriana Grande(アリアナ・グランデ)がカバーした事でも知られています。この曲も全米1位を獲得し、これにより達成した「デビューから5曲連続全米1位」はThe Jackson 5(ジャクソン・ファイブ)の4曲を凌ぐ快挙となりました。
大ネタThe Emotions(エモーションズ)の『Best Of My Love』をサンプリングしたダンサンブルなこの楽曲は、これまでのシングル同様R&B / ヒップホップチャートやダンスミュージックチャートでも1位を記録しています。何と言っても“ホイッスル・ボイス”と言われる終盤の超高音によるアドリブが凄まじいですね。
ちなみにプロデューサーの故David Cole(デヴィッド・コール)とRobert Clivilles(ロバート・クリヴィルス)はC + C Music Factory(C&C ミュージック・ファクトリー)として活動していた2人です。
余談ですが、マライアとBoyz II Men(ボーイズ・ツー・メン)による共作で、ギネス記録のヒット歴を誇る名曲『 One Sweet Day 』はデヴィッドの死を追悼する曲でもあります。
関連作品紹介
Emotionsが収録されているアルバム
Emotions/ Mariah Carey

- Emotions
- And You Don’t Remember
- Can’t Let Go
- Make It Happen
- If It’s Over
- You’re So Cold
- So Blessed
- To Be Around You
- Till The End Of Time
- The Wind
MTV Unplugged / Mariah Carrey

「MTV Unplugged」とは音楽専門チャンネルのMTVが企画・放送した、世界のトップアーティストがアコースティックで演奏・ライブするという斬新なテレビ番組です。過去には
- Eric Clapton(エリック・クラプトン)
- Nirvana(ニルヴァーナ)
- Jay-Z(ジェイ・ジー)
なども出演しています。
今作『MTV Unplugged』は人気絶頂時のマライアが披露した、貴重なライブパフォーマンス音源です。収録曲はわずか7曲、時間にして30分ほどですがアルバム化してリリースされ、全米アルバムチャートは3位を記録。
シングルカットされたJackson 5(ジャクソン・ファイブ)のカバー『I’ll Be There』はライブ音源にも関わらず全米シングルチャート1位(2週)を獲得しました。デビューから2年、賞の授賞等でゲストとして1曲披露するというパフォーマンスはありましたが、本格的なライブ活動は行っていなかったマライアが、生のステージを公に披露した注目作です。
バラード、アップテンポとバランスよく選曲された充実したライブは飽きさせることなくたっぷり楽しめる内容となっていますよ。
- Emotions
- If It’s Over
- Someday
- Vision Of Love
- Make It Happen
- I’ll Be There
- Can’t Let Go
- 【ライブ音源】Mariah Careyが『MTV Unplugged』で披露した貴重なアコースティックライブアルバム
- 【Jackson 5カバー】Mariah Careyの『I’ll Be There』は歌詞も最高なデュエットラブソング
- 幼きマイケル・ジャクソンが歌う愛!The Jackson 5の『I’ll Be There』は鉄板ラブソング
Emotionsにサンプリングした曲・元ネタ
Best Of My Love / The Emotions
シカゴ出身の3姉妹によるコーラスグループThe Emotions(エモーションズ)の全米5週連続1位を記録した大ヒットシングル。70年代を代表するディスコ・クラシックですね。
この曲をプロデュースしたEarth Wind & Fire(アース・ウィンド&ファイアー)のリーダーMaurice White(モーリス・ホワイト)は、2016年の2月3日に74歳で亡くなってしまいました。これに対しアメリカのオバマ元大統領もFacebookに以下の追悼のコメントを残しています。
Michelle and I were saddened to hear of the passing of Maurice White. With his brothers and bandmates of Earth, Wind and…
POTUS 44さんの投稿 2016年2月5日金曜日
ミシェルと私は、モーリス・ホワイト氏の訃報を聞き、悲しみにくれています。アース・ウインド&ファイアーとモーリスは、ジャズ、ソウル、ファンクとR&Bを融合させることでアメリカらしいサウンドを作り上げ、世界中で何百万人ものファンを獲得しました。
彼らのプレイリストは時代を超越し、今でも誕生日パーティーやバーベキュー、結婚式、久しぶりの家族の再会などあらゆる場面で我々を一つにしてくれます。そんな人々を惹きつけてやまない洗練された歌を作ることができたのはモーリスしかいません。あらゆる世代の多様なアーティストたちに刺激を与えることができたのは彼だけです。そしてグルーヴの力で、老いも若きも、黒人も白人も、すべての人をダンスフロアに誘えたのは彼だけです。私たちの想いと祈りはモーリスのご家族や友人、バンドの仲間と共にあります。
今夜、彼は天国で輝く星(シャイニング・スター)です。
Facebook / President Obama
この時の「シャイニング・スター」とはもちろんEarth Wind & Fireのヒット曲の1つである『Shining Star』になぞられてのコメントですね。
カバーされた曲
Emotions / Ariana Grande
今をときめく歌姫Ariana Grande(アリアナ・グランデ)によるカバー。「マライアにしか歌えない」と言われたホイッスルボイスも完璧に表現する圧倒的な歌唱力を披露しています。