ブラックミュージックファンにもお勧め!Mariah Careyの『Rainbow』はHip Hop色がさらに強めに

ヒップホップ数珠繋ぎは編集長で元DJの銀河がおすすめの音楽を気まぐれで紹介するコーナーです。「温故知新」をキーワードにサンプリングの元ネタ、ヒップホップの歴史や文化を発信していきます。

今回はMariah Careyのアルバム『Rainbow』です。関連楽曲なんかも合わせて紹介しているので、お気に入りの楽曲、元ネタやサンプリングの経緯、ヒップホップの歴史や文化に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

目次

Rainbow / Mariah Carey

アルバム詳細

タイトルRainbow
アーティストMariah Carey
レーベルColumbia
リリース1999

レビューと解説

Mariah Carey(マライア・キャリー)の7thアルバム。

  • 1990年のデビューからちょうど10年
  • 29歳のリリースでマライア自身の20代最後
  • 1999年のリリースで90年代最後
  • そしてデビューから在籍していたソニー・ミュージック最後

と、色々と節目を感じさせる作品です。前作『Butterfly』からヒップホップ・R&B色が強くなりましたが、今作もその流れ。

また、見た目も「正統派」っぽいイメージだったけど、さらに露出が増してきてる感じですね。ちなみにマライア本人は“ハッピー & カラフル”な感じでこのジャケットが1番お気に入りなんだとか。

肝心の内容はJay-Z(ジェイ・Z)を迎えたシングル『Hartbreaker』や、なんとSnoop Doggのデビューアルバム『Doggy Style』に収録されていたウェスト・コースト・クラシックの『Ain’t No Fun feat. Nate Dogg, Kurupt & Warren G』をモロに使った超Gファンクなそのリミックス

さらにそのスヌープを客演に迎えた『Crybaby』や、Master P(マスター・P)とMystikal(ミスティカル)を迎えたダーティ・サウスな『Did I Do That ?』などかなりヒップホップ色が強くなっています。意外にも今作で初顔合わせとなるプロデューサーJam & Lewis(ジャム & ルイス)とは

の4曲で高相性を見せつけています。全米アルバムチャートは2位止まりでしたが、結構な粒ぞろいの好内容ですよ。

トラックリスト

1. Heartbreaker feat. Jay-Z

アルバムからの1stシングルです。Stacy Lattisaw(ステイシー・ラティソー)の『Attack of the Name Game』をサンプリングし、ジェイ・Zをゲストに迎えたマライアらしいポップでキュートなミドルチューン。

ミュージックビデオでは、ちょっとぎこちないけど珍しくダンスを披露しています。

2. Can’t Take That Away (Mariah’s Theme)

素晴らしいバラードを作り上げるジャム & ルイスとの作品は3rdシングル。サブタイトルに「マライアのテーマ」と入る気合の入った曲ですが、シングルチャートは28位という微妙な結果に……。

3. Bliss

またもジャム & ルイスのプロデュース作。カットされた2曲目の『Can’t Take That Away』よりも、清涼感のあるトラックにマライアの高音ホイッスルボイスが見事に絡むこちらの方が好みです。

4. How Much feat. Usher

J.D.ことJermain Dupri(ジャーメイン・デュプリ)プロデュース作のゲストにUsher(アッシャー)を迎えたミドルテンポの楽曲。イントロがTLCの3rdアルバム『Fanmail』からの1stカットで、全米1位のヒットとなった人気曲『No Scrubs』に似てていきなり驚かされました。

また、フックには故2pac(トゥー・パック)がMakaveli(マキャベリ)名義でリリースしたアルバム『The 7 Day Theory』収録の人気曲『Me and My Girlfriend feat. Virginya Slim』のメロディ・リリックを引用しています。

5. After Tonight

哀愁漂うマライアらしい正統派な哀愁系スローバラード。後半に力の入る感じではなく、最後までしっとり歌い切る感じが上品でさらにグッドです。

6. X-Girlfriend

She’kspere(シェイクスピア)プロデュースによる、疾走感のあるバウンシーでアップテンポな1曲。

7. Heartbreaker (Remix) feat. Da Brat & Missy Elliott

オリジナルとはガラリと変わって、なんとウェッサイ・クラシックのスヌープ・ドッグの『Ain’t No Fun feat. Kurupt, Nate Dogg & Warren G』をモロ使いしたG-Funkナンバーとなっております。ゲストのDa Brat(ダ・ブラット)、Missy Eliott(ミッシー・エリオット)も『Ain’t No Fun』のフレーズも所々で引用し援護射撃、MVには本家からスヌープ本人も参加しています。

8. Vulnerability (Interlude)

9. Against All Odds (Take A Look At Me Now) feat. Westlife

アイルランドの男性5人組のボーカルグループWestlife(ウェストライフ)との共作によるこちらはPhil Collins(フィル・コリンズ)の大ヒット曲のカバーです。

10. Crybaby feat. Snoop Dogg

2曲目の『Can’t Take That Away』と両A面シングルとして同時にリリースされました。スヌープを迎えるだけあって、トラックには薄くですが高音のシンセがウェッサイらしく絡んでいます。

ヒップホップ・R&Bファンには馴染み深いベースラインはGuy(ガイ)の『Piece of My Love』をサンプリング。プロデュースはDamizza(ダミザ)。

11. Did I Do That ? feat. Master P & Mystikal

お次は南部からダーティ・サウスの立役者No Limit(ノー・リミット)のボスMaster P(マスター・P)とMystikal(ミスティカル)との共演。新たな一面でもありますがやり過ぎ感も若干……w

12. Petals

こちらもジャム & ルイス作のピアノバラード。弾き語りのようなシンプルな曲調の中で、低音で切なげに歌うマライアのボーカルが印象的です。

13. Rainbow (Interlude)

14. Thank God I Found You feat. Joe & 98 Degrees

アルバムからの2ndカットで、

  • ジャム & ルイスによるプロデュース
  • R&BシンガーJoe(ジョー)
  • コーラスグループ98 Degrees(ナインティーエイト・ディグリーズ)

を迎えた極上のバラード楽曲。アルバムには

このアルバムは、まるでジェットコースターに乗っているかの様な、ここ数年間の私の心の内を追っているの。でも物語の最後は、ハッピーエンドよ。嵐の後には、目をよく凝らして見渡せば虹がかかるのよ

とコメントが載せられています。12曲目の失恋ソングからスキットを挟んでハッピーエンドという流れは聞き応え十分です。

この曲でMariah Careyは通算15枚目のビルボードチャート全米1位を獲得し、11年連続で全米1位を獲得と言う前人未到の記録を達成しました。さすがのメンツでラストは鳥肌物のコーラスを聴かせてくれます。

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この記事を書いた人

野口 銀河のアバター 野口 銀河 代表取締役

2004年から2014年くらいまでDJやってました。現場は離れましたが今でもラップや歌、ダンス、DJ、クラブ経営などHip Hopなライフを送る人を本気で応援しています。クラバーの地元愛を僕は知ってる。ヒップホップサンプリングの元ネタや歴史などをブログに書いています。

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